「旅をしない宿」という新しいコンセプト
京都から車でわずか1時間。南丹市の胡麻に、従来の観光宿泊とは一線を画すユニークなゲストハウスがあります。その名も「ゲストハウスgoma」
ここは観光地巡りのための拠点ではありません。「旅をしない宿」として、日常から離れて自分らしく過ごすための特別な居場所。
実際に訪れてみて驚いたのは、到着した瞬間から感じる「ホッとする感覚」でした。木の階段を上がっているときのワクワク感やデッキのベンチに座って胡麻の景色を眺めていると無意識に肩の力が抜けていくのを感じました。
現代人の多くが求めているのは、実はこういう「何もしない贅沢」なのかもしれません。SNSで「映える」場所ではなく、心が「映える」場所。そんな表現がまず頭に浮かびました。
偶然から生まれた宿の物語
オーナーの東裏夫妻が南丹市に移住した際、購入した築80年の古民家に離れがありました。
「母屋だけで十分だったので、離れをどう活用しようかと考えて宿を思いついたんです」と東裏さん。
観光地ではない立地だからこそ、「いっそのこと、のんびりしてもらったほうがいいかな」という発想から「旅をしない宿」というコンセプトが生まれました。
「やらなきゃいけないことがない。行かなきゃいけないところもない」
これが、gomaが提供する最大の価値なのです。
一級建築士が手がけた築50年古民家の「住むような滞在」
宿の特徴
- 築50年の木造民家をリノベーションした43㎡+庭付き一棟貸し
- 定員4名でプライベート感抜群
- 2泊〜1ヶ月の長期滞在が可能
- 無料駐車場・WiFi完備

※キャプション:個室は2部屋。部屋②:インテリアは北欧ミックスで窓が大きくて明るい部屋。

※キャプション:水回りも綺麗でこれはかなり嬉しい!

※施工中の様子

※施工中の様子
リノベーションでは、前の住人さんから心地よく譲り受けた想いを大切に、その方の残したものを所々残しています。外国人ゲストにも新鮮な畳も、あえてそのまま残しました。
樹齢200年を超える檜の巨木に守られた小さな丘の上。目の前には田んぼが広がり、都会の喧騒を忘れさせてくれる静寂な環境です。
南丹市唯一の女性一級建築士が手がけた設計へのこだわり
オーナーの東裏さんは、南丹市で唯一の女性一級建築士。設計をすべてご自身で手がけられ、施工を工務店と自分達で手掛けられたそう。

※当時は宿・母屋へ繋がる階段もなかったそう
設計の6つのこだわり
① 母屋と一体感のある外観
もともとは離れた設計だった建物を、母屋との調和を重視してリノベーション。敷地全体に統一感を持たせました。
② 玄関を母屋と分けた独立性
プライベート感を保ちながら、ゲストが気兼ねなく出入りできるよう、玄関を完全に独立させました。
③ 落ち着く家具配置と動線
お部屋に入った瞬間から落ち着けるよう、家具の高さ、配置、動線すべてを計算。無駄のない快適な空間を実現しています。
④ 直感的にわかりやすい設計
どこに何があるかが一目でわかる、迷わない設計。初めて訪れるゲストでも、すぐに「我が家」のように過ごせます。
⑤ 和室からデッキへの一体感
室内と屋外の境界を曖昧にし、和室からデッキへと自然に繋がる開放的な空間設計。
⑥ 設計していることを気付かせない自然さ
周囲の景色と馴染むよう、「設計されている」ことを感じさせない、まるで昔からそこにあったかのような佇まい。
建築に詳しくない私でも、この空間の心地よさは一目瞭然。「なぜか落ち着く」理由が、東裏さんの緻密な設計にあったのだと、お話を伺って納得しました。
国際的にも評価される設計力
インド人の建築家の友人からも高い評価を受け、シンガポールからのゲストは「派手さはないけれど旅人を知っていて、細部に渡るまでよく考えられている」と絶賛。
建築のプロフェッショナルならではの視点で、機能美と居心地の良さを両立させた空間が、多くのゲストに愛され続けています。
心温まるゲストとの出会い
取材で印象的だったのは、オーナー夫妻とゲストとの深いつながりです。
「コロナで卒業旅行に行けなくなった大学生カップルが、一ヶ月ほど滞在してくれました。庭でご飯を食べたり、当時2歳の息子とモルックで遊んでくれたり…その後も交流が続いて、結婚式にも呼んでいただいたんです」
キャンプの帰りに寄ってくれたり、一緒に琵琶湖に遊びに行ったり。宿泊業を超えた、人と人とのつながりがここにはあります。
キャリアブレイクを経験したオーナー夫妻の想い
オーナーの東裏夫妻は、それぞれキャリアブレイクを経て、2017年に京都・大阪から胡麻へ移住されました。現在は、ご夫婦でウェブデザイン事務所を営みつつ、家族との時間を大切にしながら、ゲストハウスの運営も手がけていらっしゃいます。
「以前は夫婦の時間も全然合わないし、食事を一緒に食べることもなかった。今は収益よりもゆっくり過ごすことに重点を置いて、土日は完全休みで3人でゆったり過ごしています」
そんな想いから生まれたgomaは、仕事を休んでいる人のリフレッシュの場としても機能しています。
四季折々の魅力と過ごし方
🌸 春:桜を撮りに来る方が多数
🌿 夏:虫の音でリラックス。子どもの川遊びや虫取りで自然体験
🍂 秋:紅葉撮影や散策を楽しむ
❄️ 冬:「寒いので誰も来ません(笑)」とオーナー談
この正直すぎるコメントに思わず笑ってしまいましたが、逆にこの素直さがgomaらしさ。無理に魅力を作らない、ありのままを受け入れる姿勢が、ゲストにとっても居心地の良さに繋がっているのかもしれません。
地域の魅力を肌で感じる体験

※共用庭でのんびりタイムもできます♪
「何したらいい?」とよく聞かれるオーナーは、「そのまま散歩に行ってください」と答えます。
茅葺の里まで行かなくても、周辺を歩くだけで「となりのトトロみたい!」と外国人ゲストは大喜び。広がる田畑を見て「畑は誰がやっているの?」と日本の小作農システムに興味を示すゲストも多いそう。
「何もない」と言われがちな田舎ですが、私もここ南丹市に移住して日々感じるのは「田舎すごいよ!」ということ。gomaを訪れるゲストの方も、きっと実際に歩いてみると発見の連続のはず…。都市部では見落としがちな小さな美しさを、ゲストハウスgomaで見つけてほしいなと感じました。
都市部では得られない特別な時間
「東京や大阪などの都心に住んでいると、1時間ゆっくりするところはある。でもそれ以上は難しい。この宿では2〜3日ゆっくり過ごされると、かなりリフレッシュして帰られる方が多いんです」
これが、gomaと従来の宿泊施設との大きな違いです。
✓ 仕事や人間関係に疲れて、一人の時間が欲しい方
✓ キャリアの転換期で、じっくり考える時間が必要な方
✓ 創作活動に集中したいクリエイターの方
✓ 家族や友人と気兼ねなく過ごしたい方
✓ デジタルデトックスをしたい方
オーナーからのメッセージ
「絶対的に需要はないんですけど、『なんかどこかでそういう場所ないかな?』って思った人に来てもらいたい。プールやバイキングなど充実した施設は一切ありませんが、自分で旅行を組み立てられる方なら、きっと癒しになる場所になると思います」
予約・アクセス情報
予約: Airbnbで受付中
予約ページ:airbnb.com/h/guesthousegoma
住所: 京都府南丹市日吉町胡麻大戸15-1
アクセス: 京都から車で1時間
駐車場: 無料2台完備
滞在期間: 2泊〜1ヶ月(1週間以上で割引あり)
地名の由来となった「胡麻」は、京都からアクセス良好ながら「ちょうどいい田舎」として人気のエリア。地元民に愛されるベーカリーカフェや、安全に遊べる自然環境も魅力です。
ゲストハウスgomaは、観光名所を巡る旅ではなく、自分自身と向き合う時間を大切にしたい方のための宿です。
連泊のゲストが多く、「そんなに忙しくない」からこそ実現できる、ゆったりとした時間の流れ。隣接する母屋にオーナー家族が住んでいるという「ほどよい距離感」も、初めての方には安心できるポイントです。
私自身も移住を経験して感じるのは、都市部での生活がいかに「やるべきこと」に追われていたかということ。ここgomaでは、そんな日常のルーティンから解放されて、本当に自分がしたいことに向き合える贅沢な時間が流れています。
時計を外して、スマホから目を離して。社会が決めた「自分」から離れて、好きに過ごせる「自分」を楽しんでください。
取材を通して強く感じたのは、この場所が持つ「受け入れる力」の大きさでした。何かを成し遂げなくてもいい、生産的でなくてもいい。ただそこにいるだけで価値がある、そんなメッセージがこの空間全体から伝わってきます。
日常の喧騒から離れ、静かに自分らしく過ごせる「やわらかな居場所」で、あなただけの特別な時間を過ごしてみませんか?
Instagram: @guesthousegoma で最新情報をチェック!
P.S.
南丹ガールのInstagramでも、ゲストハウスgomaさんのリールも投稿するので、要チェックしてくださいね〜!(by.なんちゃん)