こだわり抜いた曲線にハッとさせられる、中川さんの作品。
これは、自然の中から生まれるものだといいます。
暮らしの中からものづくりは生まれるもの。
その理念を大切にし、自分の生まれた根っこを把握して、百姓の仕事も、木工の仕事も、活かしあいながら取り組んでいるそうです。
木目を美しく漆で際立たせた小皿をわざどころPONでは置かせていただいています。
非売ですが、お盆も。ぜひ一度実物を見て手にとっていただきたいです。
中川さんの工房に、訪問させていただきました!
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遊び道具は自分で作るしかなかった子ども時代。森に秘密基地を作ったり、竹や木でおもちゃをつくるのに、ノミやナタなど、木工制作に使う道具を自然と使っていました。ないものは、買うのではなく、作る。その風土があり、なんでも時間をかければできると思っていたそうです。美大を出てすぐに、黒田乾吉さんの工房に入られます。
約10年間の修行期間、制作技術だけでなく、作品に対して取り組む空気感を学ぶことができたといいます。師匠は人を集めて語り合うのが好きで、一流の人もよく集まっていたそう。その中で培われてきた精神性があります。制作技術は、作れて当たり前に、どんどんなっていく。作りたい気持ち、自分が無理せずに綺麗だと思える形を、感じ取れる、納得できる状態に、自分を持っていくことこそが、作る上で大切にすべきところ。細部まで極まって見えてくる、完成する時のカーブの具合に「自分の形」を出せるように、取り組んできたといいます。
その時に中川さんが大切にているのは、師匠から「暮らしの中からものづくりは生まれるもの、百姓はやめるな」と言われた言葉。自然と向き合う中で生まれるアイディアや、曲面の見極めを、見失わないようにしています。拭き漆や、馬尾というブラシによって浮かび上がる木目の美しさも、そういった審美眼から磨きだされるものなのだろうと感じます。
※家具の作成や、修理もされています。
最近は、使う道具を減らしてどこまで表現できるか、ということにも挑戦されているそう。量産の製品が多い世の中。自分だったらこうしたい、という、おさまらない気持ちが、そういった製品を見て思うこともあるそうです。頼まれ仕事も快く取り組む中川さん。長年の制作活動で培ってきた目と腕に、信頼が集まってきます。